2008年07月09日
1982年、1983年フレンチオープン決勝2
・・・印象に残る試合 スマッシュが勝敗を左右・・・
前回【第1章 1982年フレンチオープン 男子シングルス決勝】では、ゲームをリードしていたビラスが、イージーなロブをスマッシュミスして、ゲームの流れが変わり、17歳のビランデルが優勝、一躍スターになったところで終わっています。話はその翌年1983年フレンチオープンになります。
【第2章 1983年フレンチオープン 男子シングルス決勝】
この年の決勝は、前年ビラスを破って初優勝したマッツ・ビランデルと、地元フランス期待の星、ヤニック・ノアという注目の対戦となりました。
マッツ・ビランデルはクレーコートでのストローク力を活かした強さだけではなく、威力のある1stサーブ、安定し、タッチのいいボレーを駆使し、オールラウンドなトッププレイヤーの片鱗を見せ始めていました。
ヤニック・ノアは、長身で非常にバネのある高い身体能力を活かしたサーブ、ネットプレイをベースに、やはりトップ選手の一人となっていました。
前年、1982年のフレンチオープンでは、ベスト4入りをかけビラスと対戦、ビラスの強くて重いトップスピンストロークに完全に打ち負けてしまいましたが、この年のノアは全く別人のプレーを見せたのです。
強く、安定したストロークでかつ持久力のあるビランデルに対して、ノアは非常に意外性のあるゲームプランで挑んだのです。
当時のフレンチオープンのクレー(アンツーカー)は、今よりも球足が遅く、強力なストロークを有するプレイヤーでなければ優勝は困難でした。普通に考えるとノアが優勝する可能性は低い、と多くの人が思ったのではないでしょうか(ノアのフォアハンドストロークは、回転過多で攻撃力、安定性で一段劣る)。その中でノアの武器は、スライス回転のかかる速い1stサーブ、鋭く高くキックするツイストサーブ、そして高い身体能力、これらでどれだけ頑張れるか・・・というところでしょうか。
試合が始まると、ノアの意外で異様なプレーが明らかになりました。
ノアは持ち前のサーブ力をベースに、ネットプレーで攻撃を組み立てました。
その中で特異で異様なプレーは2つあり、
1つは極端に弾まない、やや浅めのバックハンドスライスアプローチでした。
・・・連続写真を探したのですが見つからないので、当時のかすかな記憶を元に説明しますと・・・
フォアハンドのウェスタングリップで(フォアを打つ逆の面を使う)、極端にボールを引きつけ、上から下へラケットを引きおろす打ち方だったと思います。実際試すとわかるのですが、ボールの前に進む力はかなり弱く、回転ばかりかかります。
ボールがあまりにも弾まないので、ビランデルは特異のパッシングショットやトップスピンロブをうまく使えず、何とか上げたロブが、ノアの驚異的な垂直ジャンプによるスマッシュ(今で言うダンクスマッシュ)の餌食になり続け、試合はまるでヤニック・ノア・オン・ステージのようでした。この垂直ジャンプが2つ目の異様なプレーです。
少し脱線しますが、
*スマッシュ2008年5月号「テニスの超!基礎知識」の中でダンクスマッシュの記載があり、「サンプラスが始め、世に広めた」という記述がありますが、これは間違い!少なくとも1983年にヤニック・ノアが凄いダンクスマッシュを数々決めているのです。
本題に戻ります。
結局、試合は新クレーの王者ビランデルをノアがストレートで破り、何十年振りかのフランス人の優勝というフランスの熱狂の下、幕を閉じたのです。そのノアの後、地元フランスの熱狂とともに再びビランデルに決勝で挑んだのはアンリ・ルコント、1988年まで待つことになります。
私の友人達の間でも、ノアの不可解なバックハンドスライスを真似るのが流行りましたが、あの凄い垂直ジャンピングスマッシュは誰も真似できませんでした。当然ですが・・・
テニスクラシック1994年1月号 ノア サーブ連続写真
前回【第1章 1982年フレンチオープン 男子シングルス決勝】では、ゲームをリードしていたビラスが、イージーなロブをスマッシュミスして、ゲームの流れが変わり、17歳のビランデルが優勝、一躍スターになったところで終わっています。話はその翌年1983年フレンチオープンになります。
【第2章 1983年フレンチオープン 男子シングルス決勝】
この年の決勝は、前年ビラスを破って初優勝したマッツ・ビランデルと、地元フランス期待の星、ヤニック・ノアという注目の対戦となりました。
マッツ・ビランデルはクレーコートでのストローク力を活かした強さだけではなく、威力のある1stサーブ、安定し、タッチのいいボレーを駆使し、オールラウンドなトッププレイヤーの片鱗を見せ始めていました。
ヤニック・ノアは、長身で非常にバネのある高い身体能力を活かしたサーブ、ネットプレイをベースに、やはりトップ選手の一人となっていました。
前年、1982年のフレンチオープンでは、ベスト4入りをかけビラスと対戦、ビラスの強くて重いトップスピンストロークに完全に打ち負けてしまいましたが、この年のノアは全く別人のプレーを見せたのです。
強く、安定したストロークでかつ持久力のあるビランデルに対して、ノアは非常に意外性のあるゲームプランで挑んだのです。
当時のフレンチオープンのクレー(アンツーカー)は、今よりも球足が遅く、強力なストロークを有するプレイヤーでなければ優勝は困難でした。普通に考えるとノアが優勝する可能性は低い、と多くの人が思ったのではないでしょうか(ノアのフォアハンドストロークは、回転過多で攻撃力、安定性で一段劣る)。その中でノアの武器は、スライス回転のかかる速い1stサーブ、鋭く高くキックするツイストサーブ、そして高い身体能力、これらでどれだけ頑張れるか・・・というところでしょうか。
試合が始まると、ノアの意外で異様なプレーが明らかになりました。
ノアは持ち前のサーブ力をベースに、ネットプレーで攻撃を組み立てました。
その中で特異で異様なプレーは2つあり、
1つは極端に弾まない、やや浅めのバックハンドスライスアプローチでした。
・・・連続写真を探したのですが見つからないので、当時のかすかな記憶を元に説明しますと・・・
フォアハンドのウェスタングリップで(フォアを打つ逆の面を使う)、極端にボールを引きつけ、上から下へラケットを引きおろす打ち方だったと思います。実際試すとわかるのですが、ボールの前に進む力はかなり弱く、回転ばかりかかります。
ボールがあまりにも弾まないので、ビランデルは特異のパッシングショットやトップスピンロブをうまく使えず、何とか上げたロブが、ノアの驚異的な垂直ジャンプによるスマッシュ(今で言うダンクスマッシュ)の餌食になり続け、試合はまるでヤニック・ノア・オン・ステージのようでした。この垂直ジャンプが2つ目の異様なプレーです。
少し脱線しますが、
*スマッシュ2008年5月号「テニスの超!基礎知識」の中でダンクスマッシュの記載があり、「サンプラスが始め、世に広めた」という記述がありますが、これは間違い!少なくとも1983年にヤニック・ノアが凄いダンクスマッシュを数々決めているのです。
本題に戻ります。
結局、試合は新クレーの王者ビランデルをノアがストレートで破り、何十年振りかのフランス人の優勝というフランスの熱狂の下、幕を閉じたのです。そのノアの後、地元フランスの熱狂とともに再びビランデルに決勝で挑んだのはアンリ・ルコント、1988年まで待つことになります。
私の友人達の間でも、ノアの不可解なバックハンドスライスを真似るのが流行りましたが、あの凄い垂直ジャンピングスマッシュは誰も真似できませんでした。当然ですが・・・
テニスクラシック1994年1月号 ノア サーブ連続写真
2008年07月09日
打球感をどう考えるの?
最近いろんなラケットを打ちました。自分ではよくわからない疑問がずっと続いています。「打球感は大事な要素なのか」で触れています、打球感と技術向上やゲーム結果が関係するのかどうか?という点。
でもラケットを試打してみると、やはり気になるのが打球感、そして次は自分の打ち方に合っているか、あとはイメージ通りの場所にボールがいくかどうか(コントロール性)。打球感は名前の通り感性に訴えてきますので、やはり理屈で考えても意味がない・・・という結論に面倒なのでしようかとも思っています。
一方でこんな仮説も立てました。
・・・結局打球感というのは、自分の技量に相当するコントロール性をイメージできる打ち応えである・・・
初心者の頃は、フォーム、筋力などの点から、軽くてスカーンと飛んでいく感触のものを選びます。
上手くなってくるとスカーンと飛びすぎることに不安を覚え、打球の距離感やスピンをかけた時の感触がイメージ通りの打ち応えのものを選びます。
さらに上手くなると、ラケットのフレーム剛性で妥協できなくなります。相手の打球に負けてラケットがたわんだり、しなったりすると不安を感じ、だんだん金属バットのような「ごっつい」ラケットを好みだし、「ゴーン」という固めの感触が得られる打ち応えを求めます。
初心者は上級者のラケットを固くて悪い感触だと思い、上級者は初心者のラケットを頼りない感触と思います。
そう考えると、好みの打球感というのは・・・学習の結果得られた道具に対する安心感であり、精神的な安定をもたらす効果があることから、自分の技術を上手く引き出す触媒のようなもの・・・なのでしょうか?
「うーん・・・何か欠けている・・・」
この続きは気が向いたら ということで・・・
でもラケットを試打してみると、やはり気になるのが打球感、そして次は自分の打ち方に合っているか、あとはイメージ通りの場所にボールがいくかどうか(コントロール性)。打球感は名前の通り感性に訴えてきますので、やはり理屈で考えても意味がない・・・という結論に面倒なのでしようかとも思っています。
一方でこんな仮説も立てました。
・・・結局打球感というのは、自分の技量に相当するコントロール性をイメージできる打ち応えである・・・
初心者の頃は、フォーム、筋力などの点から、軽くてスカーンと飛んでいく感触のものを選びます。
上手くなってくるとスカーンと飛びすぎることに不安を覚え、打球の距離感やスピンをかけた時の感触がイメージ通りの打ち応えのものを選びます。
さらに上手くなると、ラケットのフレーム剛性で妥協できなくなります。相手の打球に負けてラケットがたわんだり、しなったりすると不安を感じ、だんだん金属バットのような「ごっつい」ラケットを好みだし、「ゴーン」という固めの感触が得られる打ち応えを求めます。
初心者は上級者のラケットを固くて悪い感触だと思い、上級者は初心者のラケットを頼りない感触と思います。
そう考えると、好みの打球感というのは・・・学習の結果得られた道具に対する安心感であり、精神的な安定をもたらす効果があることから、自分の技術を上手く引き出す触媒のようなもの・・・なのでしょうか?
「うーん・・・何か欠けている・・・」
この続きは気が向いたら ということで・・・